- IT業界はブラックって言われるけど実際はどうなの?
- IT業界がブラックになるのはなぜ?
そんな疑問にこたえます。
SESの下請けエンジニアとして長年やってきたわたしが答えたいと思います。
IT業界がブラックになる理由
- 製造業なのに見積もりができない
- 下請け制度にある
- 客のほうで何をするか決められない
- スケジュールを変更しない
理由をざっくりとあげました。
このどれかが理由になるというのではなく、ほぼすべてが毎回、大手Sirのプロジェクトでは起こっています。
プロジェクトの後半には、ほぼすべてのエンジニアが残業につぐ残業で毎日終電で家路につくという生活を強いられます。
では、なぜこんなことを20年も30年も続けているのでしょうか?
それは、会社は儲かるからです。特に大手は。
まぁ末端のエンジニアも残業代でそれなりには儲かるのですが。
一つづつ見ていきます。
製造業なのに見積もりができない
工場などの製造業は、1日につくれる個数がわかります。
機械で動かしているので、この機械を1日何時間動かせば、何個できるというのが計算できます。
新人がやるのとベテランがやるのとでは作業スピードも違うし、やる気を失っているベテランも恐ろしく作業スピードが落ちます。
また、よくわかっていない状態で、ほとんど何もわかっていない営業とよくわかっていないSEで見積もります。
SEだけならある程度妥当な見積もりをだすのですが、営業はその見積もりからどんどん見た目のよいものだけに削っていき、客に提出します。
下請け制度にある
なぜ営業は見た目のよいものに削っていくのか?
それは、もちろん競争があるためです。
当然、信頼できる会社で安い会社がその仕事をゲットします。
その大手sirがとったプロジェクトの実作業は下請け企業に投げられます。
1次受け、2次受け、3次受けといろんなエンジニアが集められます。
そして開発プロジェクトの後半、スケジュールが遅れに遅れてきたころ
下請け同士が五人組のような状態になります(笑)
大手sirのマネージャーが言いだします。
「あそこの会社は頑張っているんだから、そちらの会社もやってもらわないと」
「あなたの会社で、この遅れの責任とれるんですか?」
そうなるとデスマーチが流れ始めます。
やることがあろうがなかろうが、基本終電での帰宅が確定します。
客のほうで何をするか決められない
ではなぜ、スケジュールが遅れるのか?
営業の出す見積もりが甘いのもあるのですが、それとは別にエンドユーザの意思決定が遅れるというのがあります。
開発の流れは決まっています。
- 要件定義(どういうことを実現するためにこのアプリはあるのか)
- 業務フロー(アプリをいれる前と後で実際の仕事の流れはどうなるのか)
- 画面設計(どんな画面にするか)
- テーブル設計(どういうデータの持ち方をするか)
- 実際にモノをつくる
- テスト
- 納品
業務フローや、画面設計は、実際に使う側の人の意見や、今のやり方をきいて、未来の形を決めていきます。
ただ、実際にその画面を使っている人たちはシステム部門ではなく通常の業務を普通に行っています。
そこへ、追加の仕事として今のフローとか未来の画面やらをどうするかというのを決めていかないといけないのです。当然、残業時間でって感じになるので、遅々として進まないのです。
スケジュールを変更しない
スケジュールはどんどん遅れていきます。
6月にリリースで、製造のスタートが3月のはずなのにまだ、要件定義をしているということがよくあります。
普通に考えれば6月のリリースを9月にすればいいだけなんですが、それがなかなか行われない。
リリースの後にその新システムを使っての教育などの予定がたっていたり、株主総会や、メディアで一般に発表していたりするためもあるとは思いますが、一番の理由は、スケジュールがおくれたっていう責任を上の方でとりたがらないからといえます。
上層部のだれかが、鶴の一声で、リスケしますといえばいいのにそれは本当になかなか言われません。何人かうつ病のようになってプロジェクトからリリースされてから、スケジュールの変更がようやく発表になります。
まとめ
IT業界がなぜブラックになるかを書いてきました。
ただ、これは少し昔の話かもしれません。
最近は、「時間外労働の上限規制」の法律も施行されており、残業に歯止めがかかっているプロジェクトもよく見かけます。
また、ここで見てきたようになるパターンはたいてい1次開発です。システムの新規開発や、大幅な刷新の際に発生します。2次開発以降(すでにあるシステムに機能を追加する案件)はたいてい、もっと平和なプロジェクトになります。
そういうプロジェクトを狙って仕事すれば、そんなに苦しむこともないです。
会社員だと難しいかもしれないですが、フリーランスならある程度、仕事を選べます。
苦しんでいる社員さんがいれば、選択肢の一つとしてもいいと思います。
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